①学校教育の変革期 ②本園の六月、幼稚園での子ども達はばらの幼稚園 園長 楠 邦江 2023.06.01

① 学校教育の変革期

 「こども」に関する政策を一元的に進める新省庁の「こども家庭庁」が4月1日に発足しました。
4月3日には発足式を行い、岸田文雄首相が「子どもまんなか社会の実現に向け、何よりも大切なのは子どもの意見を聞き、受け止め政策に反映させること、皆さんと一緒に考えながら政策をつくっていく、このことを原点としてこども家庭庁が心掛けることを約束したい、などとの挨拶がありました。

同じくして小学校教育が今、大きな変革期にあります。
従来の一斉保育から多様性のある学びへと変わり、それは「子どもの主体性を尊重し育ちを見守り支える」幼児教育も多くの共通点があります。
日本では長年にわたって知識の所有を目的とする教育が行われてきました。
しかし、教えた知識を所有する価値は大きく低下しています。
例えば早く計算ができることよりも計算の仕組みを理解することの方が大事であるというふうに学力の捉え方が大きく変わってきています。

新学習指導要領でも多様性が重視されています。
実際に小学校では不登校の子どもが年々増え、近年は発達障害と優れた才能を併せもった子どもも増えてきています。
得意と苦手なデコボコの両方が大きい子どもにとって、従来の一斉画一的な指導ではとても受け入れづらいことなのです。
実際に学校生活を苦痛に感じる子どもも多い現状になっています。

そういう子どもも含め、すべての子どもがもつ可能性や才能を伸ばしていかそうと「個別最適」の指導の考え方を受け入れあらゆる他者を価値のある存在として尊重し多様な人々と「協働することも課題に配慮しながら、すべての人が共生できる学校教育が求められ、新学習指導要領では、育成する子どもの学力や評価の基本的な考え方が大きく変わり、“資質・能力”を基盤とする学力観へと変わってきています。

② 本園の六月、幼稚園での子ども達は

園生活にも少しずつ慣れ、友達ができて園生活が楽しくなり始めた時期です。
子ども達にとって友達と仲良くするのは、非常に努力が必要です。そのなかで自己中心性の強い子どもにとっては、自分の気持ちや欲求を正面から相手に投げかけていくのが自然です。しかも成長するに従って相手のことも考えることができるようになってくれば、次第に友達のために力を貸すような気持ちも育ち始めます
低年令のときは、まったく友達のことなど考える余裕はないのですが、友達の気持ちを考えることができるようになってきますと、それだけ精神的な成長をとげてきたものと確信できます。

年少児さんも園に慣れてきてそろそろ友達との遊びに協力しあって作業を進めるようなこともできるようになります。
この機会に人に親切にすることの嬉しさ、親切にされた時の気持ちの良さを具体的な行動をとおして「親切」の心が育ってきて大変嬉しく思います。
佛教の言葉では「布施」といっています。

子ども達は全てのものに生命があると信じています。
例えば机をたたくと「机が痛い痛い」と言っているよ。と発言したりしています。
その反面小さい虫を見つけると、すぐに捕まえたり羽根をとってみたりと残忍なことを平気でします。それは周囲の大人から「虫に刺されたら大変よ」などと聞かされている子ども達にとっては、虫をみつければやっつけたくなるのでしょう。
又は、虫に対する関心の深い子どもは、虫の羽根はどうなっているのかと興味によって触っているうちに羽根や脚を取ってしまうこともあります。

 仏教保育では、全てのものに生命の尊さのあることを子ども達に伝えています
人は人なりに、物は物なりに、存在の意義があります。
人のみでは生きられません。物と人との和によってこの世は繁栄しています。
そこに心からの感謝の気持ちが生まれてきます。「ありがとう」の言葉です。
保育の原点は一人ひとりの子どもの主体性を尊重し、遊びを大切にすること、そして環境を通して行うことを大切にしていることです。